2009年 6月17日

急 ぐ な 合 併・守 ろ う 安 土 み ん な の 会 通 信  No.32

呆れています。町長自らの異議申立 890人

井上佐由利議員の合併関連議案に対する反対討論より
(2009年6月15日 安土町議会 本会議)

 私たちが暮らす「安土町」は人口こそ1万2千人の小さな町ですが、その名前は日本中に知られた全国ブランドの「歴史の町」です。今、この小さいけれども、名前だけでなくその存在自体が貴重な「日本の宝」とも言うべき私たちのふるさとが全く理不尽で強引な手法によって、なくされようとしています。私は本議会に提案されている来年3月21日を期日とする近江八幡市との合併関連議案に反対であることを明確に表明します。

 以下その理由と根拠を明らかにし、本議案に対する反対討論を行います。まず、4年前の合併騒動が収束して以後、理不尽きわまりない今回のゴリ押し合併の経緯を簡単に振り返ってみたいと思います。

 町長は合併を進める根拠として主に次の3点を主張しています。

 @2年前の町長選挙で「合併の検討」を公約に掲げ当選したこと。
 A住民説明会を開催し、参加者を中心に合併の必要性について理解を得たこと。
 B1年半かけて、議会の審議など正規の手続きを踏んでいること。       

 しかし、住民に約束した「合併について検討する」ということが、町長の全く恣意的な判断で「合併を推進する」にすり替えられてしまったことに、今日の合併問題を巡る混乱と町民の大きな反発を招いたそもそもの原因があることを、町長は今こそ真摯に受け止め、今からでも軌道修正すべきです。

 今回の合併は「検討する」ことから始まったものです。この出発点の認識が非常に重要です。合併検討会議の提言の核心部分は「行政・議会・住民の十分な話し合いの中で町の将来を決めることが大切」ということであり、合併する・しない、もう少し時間をかけて、など様々な結論のありようを想定し、「何が何でも法期限内」ではなく、結論は住民全体の協議に委ねられた、ここが最も大事な出発点です。

 この提言を受けて昨年7月〜8月に行われた第1回住民説明会での町の説明の基調は町財政の現状と見通し、国の地方分権策の動向から一般的・抽象的な「合併の必要性についての理解を求める」ものでした。参加者から出された「合併の枠組みや相手先はどこを考えているか」、「具体的なものが示されないと賛成も反対も決めかねる」といった自然な質問・疑問に対して一切答えず、「この第1回説明会の意見を集約した上で、合併の枠組みや期日については、第2回説明会で提示し、そこで改めて住民のみなさんの意見を頂戴しながら検討していく。」ことが約束された・・・はずでした。

 ところが、第2回の住民説明会開催前の昨年9月議会で町長は突然一方的に近江八幡市との法期限内合併を発表し、その事実を持って住民から「約束が違う」「民意を問うていない」という反発が巻き起こったのです。そして、昨年12月から今年2月に行われた第2回住民説明会は「住民の意向を聞き取り、合併の是非も含めて今後の方向性を協議する」という当初の約束は反故にされ、「近江八幡市との期限内合併についての一方的な説明会」に置き換えられてしまったのです。

 いま、安土町内で巻き起こっている住民運動は、元々「何が何でも合併に反対」という運動ではなかったし、今もそのスタンスは変わっていません。町長の選挙公約は「合併の検討」であり、「合併の決定」でも「合併の推進」でもありませんでした。事実、第1回の住民説明会では、「枠組みや期日も含めた合併の是非について、第2回の住民説明会で話し合う」ことが約束されたのです。住民は当然その言葉を信じたのですが、それを町長が何の説明もなく投げ捨てたことから、「合併の是非は民意を問うた上で決めよ」という運動が始まったのです。

 住民の中には合併に賛成・反対・その他様々な考え方があるからこそ、その進め方には住民の意向をくみ取る慎重で真摯な努力が不可欠です。合併問題のように、まちのあり方そのものに関わる重大問題では、主権者である住民の意向をしっかり見定めて、最終的には住民投票など、住民間にシコリの残らない手立てを講じることが最善の策です。したがって、住民のみなさんは住民投票条例の制定を求め、合併に賛成であれ反対であれ、その住民投票に示される住民の意思(結論)に従うことを表明されていたのです。それにもかかわらず町長は、有権者の約41%にあたる4,015筆の「住民投票を求める声」に「聞く必要なし」との態度を示し、住民の願いを拒否しました。事態がここに至って、「こんな強引なやり方で合併が強行されることは許せない」「町長はキチンと住民の声を聞くべきだ」との思いから、町長の暴走、暴挙を食い止めるために残された唯一の手段としてリコール署名に取り組んだのが経過です。

 そして、その思いは多くの町民の中に共感を持って迎えられ、町民集会の会場入り口に町長・副町長らが見張りに立つという異様な事態をものともせず、200名の方々が参加されたり、署名期間中の「署名に応じるな」という電話にもひるまず、おおらかに運動を展開し、住民投票条例制定を求めた署名数を超える4,209筆が寄せられ、厳しい選挙管理員会の審査を経てもなお3,931人が町長の解職を求めることになったのです。 

 大事なことは今回のリコール署名の賛同者の中には、「元々合併には賛成だが、このような進め方は見過ごせない」「合併は必要だと思っていたが、こんな形で進めること (裏面へ)
(表面から) は許せない」など、合併それ自体には賛成の立場の方々も多く含まれていることです。

 町長は一人でリコール署名に対して887名にも上る異常な数の異議を申し立てておられます。その理由として、ご自身の「支持者」や「親戚」も含まれていることや、署名の趣旨を間違って理解しておられる方が含まれているとの報道があります。しかし、これまでの経緯を正常な心の持ち方、常識的な感性で見つめるなら、町長の支持者の方々が趣旨を誤って署名されたのではなく、町長のこの間のなりふり構わぬ強引な合併ゴリ押しの姿勢をみて、すでに支持者でなくなられたか、もしくは、十分署名の趣旨を理解された上で、確信を持って署名に応じられたと受け止めるのが妥当です。

 現に、リコール署名が法定数をはるかに超えて集まったことを受けて、町内著名13氏の「呼びかけ」に対する賛同は日に日に増え続け800名近くに及んでいます。また、前回の合併騒動の際に合併検討会議の副会長をされた杉原医師、元収入役の中澤武平氏、同じく仙波新一郎氏、そして竹園医師、更には町長が議員時代に統一会派としてともに活動された元町議の中村為三氏などが、町長のあまりの暴走ぶり、民意否定の理不尽さを口々に事実をもって批判されています。

 町長は合併問題とリコールは関係ない、別の問題だと強弁されていますが、これまでの全ての経過が示しているとおり、町民との約束を反故にして、「近江八幡市との期限内合併ありき」で突き進んできた町長の姿勢に対して、合併に賛成の方々を含めて、「ノー」の意志を表明したものであり、リコール問題と合併問題は切り離すことが出来ない関係にあることは明らかです。
 合併のすすめ方についてこれほど多くの町民の批判を浴び、いまその解職の是非を問われようとしている町長自身が、「その意志はない」と言いながら異常な数の異議を申し立てることで事実上「本請求の時期を遅らせ」る一方で、合併の議決を急がせることは、民主主義、地方自治の根本精神に照らして断じて認められません。

 合併について住民の間に様々な意見があることは当然であり、だからこそ、行政を預かる者はその職責にかけて慎重に民意をくみ取るあらゆる努力を惜しむべきではありません。そして、まちのあり方そのものをどうするかはそこに暮らす主権者である住民自身がきめるという地方自治の本旨・根本精神に立ち、可能な限り住民投票などの手法を用いるべきというのは、合併特例法が改定されたたびに衆参両院の付帯決議で強調されている「イロハのイ」です。

 合併の是非を判断するのは9月議会でも何ら問題はありません。「合併については十分に住民の理解を得ている」、町長は繰り返しこう言ってこられました。本当にご自身の今日までの進め方が住民に理解されているという自信があるなら、合併の議決をこの6月議会で強行することをやめ、異常な数の異議申し立てを直ちに取り下げて、リコールの審判を正々堂々と受けるべきです。

 同僚議員のみなさんにも、事態がここに至り住民の間に合併の進め方だけでなく、安土町の政治のあり方はこんなままで良いのかという世論が渦巻いているときに、それに応える何の説明もしないまま、この6月議会で合併議案を取り扱うことは、諸先輩方が営々と築いてこられた歴史と伝統ある安土町議会の権威と良識に背くことになることを心から訴えたいと思います。

 こんなやり方で住民の間にシコリと対立を残したままで合併して住民は果たして幸せになれるのか、私たち議員は住民の将来に責任を負うことが出来るのか、もう一度よく考えていただきたいと思うのです。私自身は、合併そのものに反対の意見を持っています。議員各位にはそれぞれ賛成・反対のご意見があるでしょうが、それはリコールの決着がついて以後、9月議会でも可能であり、今ここで結論を出さなければならない理由はありません。

 合併は一度決めたら後戻りが容易でない自治体にとって最も大事な問題です。住民間にシコリや対立を極力残さない為の手立てを十分に尽くして、行政と議会が住民からの最低限の信頼を取り戻した後に、改めて審議することが妥当であり、今議会で合併議案を採決することに反対の意を表明して反対討論を終わります。


こんな違法・無法で「安土」の名を消していいのか

異議申立書を書かせに訪問しながら、議会では「行ってない」と大うそ!


 昨日の朝日新聞に下記の記事が掲載されました。

町長、リコール署名取り下げに戸別訪問も
滋賀・安土町    2009年6月16日

 津村町長が電話でリコール署名の取り下げを求めていたことがテレビや新聞で大きく取り上げられましたが、それだけではなく戸別訪問して署名の取り下げを求めていたのです。15日の議会で本人から話を聞いた井上町議が町長に質し、西川町議が地方自治法の「署名の自由妨害罪」だと追求しました。満席の傍聴席からも驚きと怒りのどよめきが起こりましたが、町長は「いっさい行ってない」と答弁。新聞には訪問したことを認めており、議会では明確にうそをついたことになります。

 本来12日に提出予定であったリコールの本請求を887件もの異議申し立てで遅らせた上にこんなことまでしていたのです。「前代未聞」「異常」「想定外」など違法・無法のオンパレード、「6月議会で決めるな」の声が高まっていたのに、推進派議員は継続審議の緊急動議に背を向け合併議案に賛成しました。

 たたかいは知事・県議会へと移ります。住民の声が踏みつぶされ、こんなめちゃくちゃがまかり通って「安土」がなくなるのを許すわけにはいきません。あきらめて喜ぶのは一部のゴリ押し派だけ、ひきつづくご支援をお願いします。


※こうした署名取り消しの動きについて知っておられる方はぜひ「会」まで連絡ください。




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